(注意)報道や記事の中には、取材不足や誤認等が含まれることがあります。
あくまで、諸問題を考える上での参考としてご覧ください。
| ■ 信州・生き物探訪:/41 上高地の魚類(松本市安曇・梓川上流)/長野 |
| Date: 2005-11-22 (Tue) |
2005/11/16 毎日新聞 地方版
◇「イワナの楽園」幻に
春から秋まで、多くの観光客でにぎわう松本市安曇の上高地。川にかかる橋の上
では、流れを見下ろす観光客がよく「あっ、イワナがいる」と声を上げる。上高地
の魚と言えば「イワナ」と、誰もが思う。ところが現在は、それらはイワナではな
いことの方が多い。
11月上旬、小梨平にある上高地ビジターセンターを訪れ、上高地の魚について
尋ねると「今は放流されたカワマスやブラウントラウトが多い。イワナはあまりい
ないのではないかと思います」と女性スタッフが答えた。
高冷地で水温が低い上高地の川に、もともといた魚はニッコウイワナのみとさ
れ、昔は「水面を覆いつくすほどイワナが見られた」と伝えられる。しかし、大正
時代以来、サケ・マスの仲間が次々と放流され、今では外来のカワマスとブラウン
トラウトの2種が定着し、数を増している。
小梨平を流れる中川と清水川の岸辺を歩き、魚の姿を探した。中川では、よどみ
などに魚が見られた。背びれや体の斑点から判別すると、カワマスとブラウントラ
ウトのようだ。清水川でも、いたのはブラウントラウトとみられた。
この日は梓川本流でも魚影を認めたが、種類までは分からず、結局、イワナらし
い魚は見られなかった。秋から冬にかけてはこれらサケ科魚類の繁殖期で、彼らは
中川や清水川などの支流に集まって産卵活動をする。
昔からいたイワナも今は放流されたものが多いとされ、在来の天然種は「明神か
徳沢より上流でなければ見られない」ともいわれる。10月中旬、槍沢でイワナの
姿を認めたが、ここまで来ないと、本来のイワナにはなかなか会えないようだ。
現在の上高地ではさらに、ややこしい事態が起きている。イワナ、カワマス、ブ
ラウントラウトの3種間で雑種が生じ、しかも雑種を含めた交雑まで起きているの
だ。県環境保全研究所の北野聡研究員によると、ブラウントラウトはイワナやカワ
マスとは属が異なるにもかかわらず「他種との交雑がある」という。
北野研究員の近年の調べでは、交雑は「イワナ雌とカワマス雄」の組み合わせ
が、その逆よりも多く、イワナの雌が雑種を含む他種の雄と交雑する頻度が高かっ
た。これは、時期的にイワナの繁殖が一番早く始まるため、それにカワマスなどの
雄が割り込むからだ。イワナの存続には不利な現象で、北野研究員は「在来イワナ
の再生産を阻害する要因となっている」と分析する。
最も厳しく自然状態が保たれているはずの上高地でも、残念ながら外来魚が在
来魚を駆逐しつつあり、かつての「イワナの楽園」は幻となりつつある。【武田
博仁】
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…
◇ニッコウイワナ
サケ科イワナ属イワナの1亜種。静岡県富士川及び鳥取県日野川以北の本州に分
布。県内では主に千曲川、犀川、姫川などの日本海流入河川の上流部に分布。県の
レッドデータブックでは、天竜川、木曽川水系に分布するヤマトイワナとともに準
絶滅危惧(きぐ)種。
◇カワマス
同科同属。北米東部が原産地。明治時代に栃木県の日光・湯川に移入され、各地
に放流された。イワナに似ているが、背びれに黒い斑紋がある。
◇ブラウントラウト
同科タイセイヨウサケ属。北部欧州が原産地。日本にはカワマスの卵に交じって
入ったとされる。体に黒点がある。
| ■ 外来生物法:きょう施行 飼うなら要許可、放すのはダメ−−「駆け込み遺棄」は各地で |
| Date: 2005-06-14 (Tue) |
2005/06/01 毎日新聞 朝刊
外来生物による生態系への被害防止を目的とした特定外来生物被害防止法(外来
生物法)が1日施行された。国が指定した「特定外来生物」は原則として輸入や販
売、飼育などが禁止される。特定外来生物をペットにしていた場合は、国の許可を
得れば飼育できるが、遺棄には罰則がかかるため、カミツキガメなどの対象種が施
行前に捨てられるケースが相次いだ。環境省は対象種を積極的に駆除する方針だ
が、「ペットは最後まで責任を持って飼ってほしい」と呼び掛けている。
規制対象はオオクチバス(ブラックバスの一種)など37種。すでに家庭で飼
育していた場合は、12月1日までに環境省に許可申請すると、飼育を継続でき
る。ただし、繁殖は認められない。
対象生物を遺棄したり無許可で輸入した場合、個人は懲役3年以下もしくは
300万円以下の罰金、法人は1億円以下の罰金が科せられる。
環境省は1日、職員41人を「特定外来生物被害防止取締官」に任命、飼育施設
に立ち入り検査したり、基準に満たない場合に措置命令を出すなどして取り締ま
る。
施行前の「駆け込み遺棄」が目立ったのはカミツキガメで、4月以降、千葉県内
で6匹、水戸市内で計3匹が相次いで見つかった。横浜市▽埼玉県▽岐阜県▽岡山
県▽徳島県▽香川県――でも4月以降に自治体や警察へ届け出があった。
「飼いきれない」としてペットショップへ持ち込まれるケースも多いという。
NPO法人「ワニガメ生態研究所」(岡山市)の荻野要代表は「カミツキガメは、
かまれると大けがをする恐れがある」と話す。【江口一】
| ■ 外来生物法スタート |
| Date: 2005-06-02 (Thu) |
2005/06/01 朝日新聞 夕刊
国内の生態系や農林水産業に影響を与える輸入動植物を規制する外来生物法が1
日、施行された。
ブラックバスの一種のオオクチバスやアライグマ、マングースなど37種の特
定外来生物について、同日から、飼育だけでなく、移動や輸入、野外へ逃がすこと
も原則として禁止される。すでにペットとして飼っている場合、国の許可を取らな
ければならない。違反した場合は懲役3年以下か罰金300万円以下、法人の場合
は罰金1億円以下の罰則が適用される。
環境省は同日付で、全国11カ所の自然保護事務所の幹部職員ら計41人を違反
した人や業者への立ち入り検査権限を持つ「特定外来生物被害防止取締官」に新た
に任命し、監視態勢を強化する。
| ■ 『論点』ブラックバス規制を考える |
| Date: 2005-02-21 (Mon) |
2005/02/21
毎日新聞 朝刊 6面 主張 提言 討論の広場 『論点』
ブラックバス規制を考える
環境省は輸入や移動を禁じる「特定外来生物」に指定する
「この欄へのご意見は東京本社編集局『論点』編集部へ、郵送またはメール
ronten@mbx.mainichi.co.jpへお願いします。
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水口憲哉 東京海洋大学(海洋政策文化学)
みずぐちけんや1941年生まれ。東京大農学系大学院終了。環境省オオクチバス小
グループ委員。著書に「魔魚狩り-ブラックバスはなぜ殺されるのか」
環境破壊が在来種存続を脅かす真の原因
一斉駆除の法的措置取る国は他にない
「魔魚狩り」はおかしい
オオクチバス(ブラックバスの一種)は現在、国内での許可の無い移殖放流は禁
止され、琵琶淘や中禅寺湖をはじめ各地の沼やため池では自治体や漁協などがブ
ラックバスの躯除もしている。各地の自治体によるこれらの規制に加えて、国が輸
入や海外からの持ち込みを禁止する措置を行う必要はあるが、環境省がオオクチバ
スという種について全国一律に害魚としての烙印を押し、駆除すべしと法律で定め
るのはおかしい。海外の例を見ても、オオクチバスの輸入や持ち込みを禁止する国
はあっても、全国一斉に駆除するというような法的持置を取ろうとしている国は日
本以外一カ国もない。
オオクチバスを特定外来生物に指定することにより、どのような問題が生ずる
か。環境省はオオクチバスを釣ったり釣ったものをリリースすることは問題ないと
しているが、前記の規制でリリースができないので、釣り上げた魚は殺さざるを得
ない。キャッチアンドリリースで釣りを楽しむ子供たちに殺すことを強いてしま
う。
芦ノ湖、河口湖などの4湖では、漁業法で定めた第五種共同漁業権にオオクチバス
が免許されているが、この漁業の維持が新法での指定によりどうなるのか、全く明
示されていない。
環境省が03年に作成したレッドデータブックでは、絶滅の恐れのある淡水魚・汽
水魚96種についての調査で、ブラックバスとブルーギルが種の存続を脅かす原因と
されている例は5杉にすぎない。残り95%は埋め立て、河川工事、水質汚染など環
境問題となっている。このことを私は関係する環境省のオオクチバスに関する三つ
の委員会で主張しているが、研究者をはじめ皆が重視しないばかりか、無視してい
る。事実、霞ケ浦や印旛沼などでは漁業や釣りによってオオクチバスが減っており、
在来魚の減少などの問題が無いとされている。
なぜ日本各地の河川、湖沼で昔からいる淡水魚が減少し、人口孵化によるアユや
ニジマスを大量に放流しなければならないのか。そのよう状況の中、なぜ内水面漁
業が衰退しているのか。水産庁、環境省そして漁業者や魚類学研究者はこういった
ことについて真剣に検討しないで、これらの原因を皆オオクチバスのせいにしてい
る。この風潮を私は人々が厳しい現実から逃避し、オオクチバスにぬれぎぬを着
せ、火あぶりにする「魔魚狩り」だと考える。その結果、1月19日の環境省オオク
チバス専門家会合での上記諸問題も含め半年間かけて協議するという結論が、21
日小池百合子環境相の即刻指定すべしという指示で一転した。
もう一度冷静に、オオクチバスと私たちがどう付き合うか考えてみたい。小池環境
相はブラックバスが悪いわけではないとも発言されている。環境省は淡水魚の生息
環境の保全とオオクチバスの「自然物の権利」の保全という観点から、この魚の特
定外来生物指定を再考することが求められている。
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秋月岩魚 ---写真家
あきづき・いわな
1947年生まれ。釣りや旅を題材に撮影している。
自然保護団体「生物多様性研究会」代表。
著書に「ブラックバスがメダカを食う」など。
バス釣りと関連商行為がばらまき推進
バス釣り業界は駆除費用を負担すべし
駆除「当然」が市民感覚
賛成か反対ではなく、「当たり前」なのが、ブラックバス(オオクチバス、コク
チバス)の第一次指定である。私がバス問題に発言を始めて10年になるが、ここ
数年は問題を知る人が増え、今では多くの人が「バスは日本の湖沼河川から駆除す
べきだ」と考えている。そして、バスの駆除、防除を効果的に進めようと思った
ら、持ち運びや飼育に厳しい規制のかかる「特定外来生物」に指定しなければなら
ないと考えている。つまり、指定は市民感覚で当たり前ということだ。
指定はもちろん、法律が施行されるその時に指定すべきだというのも、市民感覚
で当たり前だ。問題を引き起こす外来生物は多々あるが、ブラックバスほど悪質な
やり方で全国各地にばらまかれた生き物はいない。バスを最初に指定するのは、そ
うした悪質なばらまきこそ、この法律が真っ先に取り締まるべき行為だと国民に示
すことだ。
逆に言えば、そんな生き物の指定を遅らせると、法律の意義をあいまいにしてし
まう。今後同じようなやり方で生き物がばらまかれないようにするためにも、バス
は最初に指定されなければならない。つまり、第一次指定は当たり前なのである。
ところが、バスは最初、第一次指定のリストに入らなかった。法律の事務方(環
境省)は特定外来生物を選定するため、昨秋から学識経験者からなる専門家会合を
開いてきたが、オオクチバス小会合には、なぜか学識経験者ではないバス釣り業界
の代表が委員として加わった。そして、市民感覚としては「なぜ」と感じずにいら
れない「半年延斯して再議論」との結論が出たのである。一人を除く専門家の全
員が、多少の温度差こそあれ、早期指定の必要性を訴えたにもかかわらず。
小池環境相が「まずは指定すべきだ」と発言したのは、環境相がブラックバスの
第一次指定は当たり前」という市民感覚を共有し、この結論をおかしいと感じたか
らだと考える。一部には「専門家の判断を政治家の一言で覆した」との批判がある
が、おかしいのは小会合の結論であり、環境相はそれをあるべき方向に向け直した
だけだ。事実、専門家会合も「ここでの結論は環境相発言に左右されない」と確認
した上で、オオクチバスの第一次指定を決めている。
指定されれば、バス駆除のシステムを作るという大仕事が始まる。バス釣り人や
バス釣り業界はここへも手を挙げている。が、指定に反対し、駆除を「殺せと強制
すること」などと批判する人たちは、参加すべきではない。彼らが最初にすべきこ
とは、バス釣りとその関連の商行為がバスばらまきの原因と認め、粛々とやめるこ
とである。
釣りをしない市民、そして、バス釣り以外の釣り人は怒っている。なぜ一部の人
が楽しんだり儲(もう)けたりするためにばらまかれた魚の駆除に、私たちが時間
とお金と労力を使わなければならないのか。バス業界は出せる限りの駆除費用を負
担すべきである。
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中井克樹 滋賀県立琵琶湖博物館主任学芸員
なかい・かつき 1961年生まれ。京都大理学部卒。理学博士。98年から現職。
環境省オオクチバス小グループ委員。共著に「外来種ハンドブック」など。
バスが増え生物多様性劣化、漁業衰退
利用者は応分の社会的コストの負担を
在来種に影響は明白
北アメリカ原産のブラックバスは魚食性の傾向が強いうえ爆発的に増加するため、
侵入先の生物の世界を激変させ、希少種の存続を脅かすことがある。このような性
質を持つ魚が全都道府県で確認され、生息域は今も増えつづけている。外来生物に
よる生態系などへの被害の防止を第一義とする外来生物法の理念に照らせば、オオ
クチバスが指定から外れることはありえない。
確かに、オオクチバスは魅力的な釣魚として利用者・益者が多い。だからといっ
て、こうした事情を特定外来生物の指定から外すための論拠とするのは本末転倒
だ。全国にまん廷したオオクチバスは生物多様性の劣化や漁業の衰退など、いわゆ
る生態系サービスを低下させる社会的損失を各地でもたらしている。
このような状況からあえて便益を得たい者(バス釣り愛好者や関連業界・業者)
は、そのリスクを認識して管理に向けた共通土俵に乗ることが最低限必要だ。指定
の是非の検討は、論理性をよりどころとする法律システムの中身にかかわる作業で
あり、利用者側から主張されたオオクチバス指定への反対意見に対し、理にかなわ
ないとの評価が下されたのも、当然である。
自然環境を持続的に保つうえで外来生物は深刻な脅威となりうる、との認識が広
まったのは比較的最近のことだ。いまだに「自然環境が健全に保たれていれば、外
来生物の悪影響は生じない」と漠然と信じる研究者もいる。しかし、さまざまな外
来生物が世界各地で引き起こしてきた悲劇的な事例の数々は、こうした希望的観測
を打ち砕くものだ。
日本国内のオオクチバスに関しても、自然環境の健全度にかかわらず在来生物に
深刻な影響を与えていることは、さまざまな手法を用いた調査で整合的に示されて
いる。この厳しい現実を前に、影響の軽微な事例(それも自然環境が劣化した水域
の例が多い)を積み重ねたところで、有効な反論にはなりえない。
全国的に禁止されている意図的放流(いわゆる密放流)に関しても、最新の科学
的手法は、それが現在も継続していることを立証しっつある。
この魚の影響を低減するには、地域の事情に応じた有効な捕獲体制の確立が急務
で、伝統漁法の応用から新しい装置の開発まで、多様かつ柔軟な取り組みがなされ
ている。
そして、皇居外苑の濠(ほり)や宮城県伊豆沼では、オオクチバス等を抑制するこ
とで、期待どおり在来魚が回復の兆しを見せている。
現在、環境省は特定外来生物の指定候補に関する意見を募集中だ。自由に楽しめ
たバス釣りに管理はなじまない、と多くの愛好者が受け止め、オオクチバス指定へ
の反対意見が殺到するだろう。だが、生態的リスクを持ちながら利用者の多い釣魚
だからこそ、厳格に管理する慎重さと応分の社会的コストの負担がまずは必要であ
る。この常識的判断は、バスによる被害や釣り人による迷惑にさいなまれてきた人
たちが寄せる、せめてもの斯得でもあるのだ。
| ■ 原告側が控訴 琵琶湖 外来魚訴訟 |
| Date: 2005-02-19 (Sat) |
2005/02/18 京都新聞 速報
琵琶湖でのオオクチバスなど外来魚の「再放流(リリース)禁止」を定めた滋賀
県琵琶湖レジャー利用適正化条例をめぐり、釣り愛好家のタレント清水国明さん
(54)と会社員浅野大和さん(30)=大津市=が、県を相手に、リリース禁止規定の
無効確認などを求めた訴訟で、浅野さんは18日、請求を退けた一審大津地裁の判
決を不服として控訴した。清水さんは原告から外れた。
また、浅野さんは、県と県知事に外来魚駆除事業への補助金支出の差し止めを求
めた訴訟(一審却下)についても控訴した。
浅野さんは「原告側の主張が全く受け入れられなかったため」としている。